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研究紹介 SMP30の機能解明 老化とビタミンC シトルリン化分子と老年病態

SMP30の機能の機能解明

SMP30はサリンを分解する?

SMP30の機能

 これまでに私たちが明らかにしたSMP30の機能を図2に示しました。 SMP30は細胞膜にあるカルシウムポンプを活性化し、細胞内から細胞外に過剰なカルシウムを排出させ、 細胞内のカルシウム濃度を一定に保つ働きがあります。 細胞は常に外界からの刺激を受け、それに対して応答しています。 時にはアポトーシス(細胞死)を引き起こす刺激も受けます。 その場合には、細胞内カルシウム濃度が上昇し、アポトーシスが促進されます。 しかし、細胞にはアポトーシスを回避するいろいろな防御機構があります。 その防御機構の1つがSMP30なのです。

図2

SMP30が加齢に伴う臓器障害にどのように関与しているか調べるため、 SMP30を作る遺伝子を破壊したマウス(SMP30遺伝子破壊マウス)を作りました(図3)。 遺伝子を破壊すると、多くの場合、お腹の中で死んでしまい、生まれてきません。 しかし、SMP30遺伝子破壊マウスは、正常に生まれ、外見的には普通のマウスとほとんど違いは見られませんでした。


図3

しかし、電子顕微鏡で細胞の構造を観察してみると、普通のマウスとの多くの違いが明らかになりました。 すなわち、SMP30遺伝子破壊マウスは、非常に強い細胞障害 (脂肪滴の増加、老廃物の消化を行うライソゾームの異常な増加、 たんぱく質合成を行う小胞体やエネルギーを作るミトコンドリアの形態異常)を起こしています。 また、劇症肝炎を引き起こす物質(Fas抗体)を注射してやると、野生型マウスでは何も起こらないのですが、 SMP30遺伝子破壊マウスでは肝臓から酷い出血を起こし、数時間後に死んでしまいました。 このように、SMP30は臓器の保護や生体の防御に重要な役割を果たしています。 加齢に伴うSMP30の減少は、病原菌に対する抵抗力や臓器の機能の低下をもたらすと考えられます。

私たちの別の研究から、SMP30遺伝子破壊マウスは、脂肪肝に近い症状であることが分かりました。 特に、脂肪成分を詳細に解析したところ、中性脂肪、コレステロール、リン脂質が増加していました。 なかでも、リン脂質量は普通のマウスの約3.5倍と顕著に増加していました。 これは、過剰な脂肪を処理する機能(脂質代謝)の異常が原因で、 高脂血症や動脈硬化などの循環器疾患を引き起こす原因となります。 SMP30遺伝子破壊マウスを詳細に調べることにより、これらの循環器疾患の原因究明、医薬品の開発などが期待されます。


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