HOME/東京都健康長寿医療センター研究所 老化制御研究チーム 分子老化制御

研究紹介 SMP30の機能解明 老化とビタミンC シトルリン化分子と老年病態

シトルリン化分子と老年病態

シトルリン化たんぱく質とアルツハイマー病

シトルリン化たんぱく質と皮膚疾患

たんぱく質の修飾は情報伝達、遺伝子発現、細胞分化や老化に深く関与 しています。特に、たんぱく質中のアルギニン残基がシトルリン残基に変わるシトルリン化反応はたんぱく質が本来持っている電荷や高次構造に著しい変化をもたらします。私たちは、ヒトの皮膚角層や毛嚢にシトルリン化たんぱく質が多く存在する ことを明らかにしました。

また、表皮の角化に重要なケラチンK1やK10、皮膚の水分保湿に重要なフィラグリンやトリコヒアリンが高度にシトルリン化していることも見つけました。興味深いことに、高齢者に多い炎症性角化症のひとつである乾癬では、 角層にシトルリン化たんぱく質がまったく検出されませんでした。また、アトピー 性皮膚炎でも病状の進行程度に応じてシトルリン化たんぱく質がなくなっていることもわかってきました(図10)。

図10(クリックで拡大)

これは、ケラチンなど の角層を構成するたんぱく質のシトルリン化が正常な皮膚の角化に重要な役割を果たしていることを強く示唆しています。不完全なシトルリン化反応は乾癬やア トピー性皮膚炎の発症原因となるかもしれません。 たんぱく質シトルリン化反応は、ペプチジルアルギニンデイミナーゼ(PAD)という酵素により触媒されます。ヒトでは5種類の異なるアイソフォーム(PAD1, PAD2, PAD3, PAD4/5, PAD6)が存在し、酵素の活性化に高濃度のカルシウムイオンを必要と します。ラットの表皮では、PAD1, PAD2, PAD3, PAD4が発現していることを突きとめ ました。

同じ活性をもつ4種類の酵素がどうして表皮で発現しているのか、その生理 学的意義については未だ明らかではありません。私たちは、皮膚におけるシトルリン化たんぱく質の生成やPADの活性化機構、ヒト皮膚疾患との因果関係、老化との関係を明らかにしようとして います。

 

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