HOME/東京都健康長寿医療センター研究所 老化制御研究チーム 分子老化制御

研究紹介 研究概要

研究概要

加齢に伴い私たちの身体機能は低下し、様々な故障も増加してきます。 加齢現象の背後には身体を構成する様々な分子や臓器機能の変化が存在しています。 高齢者が抱える身体機能の不全を早期に、しかも正確に検知し、改善するための方法論開発のために、 加齢に伴い発現が変化する種々の遺伝子群やたんぱく質群を解析することが重要です。

私たちが発見したSMP30(加齢指標たんぱく質30)は、このような加齢に伴い発現が減少する生体分子のひとつです。 SMP30は老化バイオマーカーとしての有用性を期待され命名されました。

発見後長い間、SMP30の機能は不明でした。 研究の過程で、SMP30は生体内外からの傷害に対して細胞の抵抗性を増強し、 SMP30の無いマウスは寿命が短くなることが分かりました。 そして、最近になって、SMP30は高等生物におけるビタミンC合成に重要な一つの酵素、 グルコノラクトナーゼであることが判明したのです。 今、ビタミンCの抗老化作用に期待が集まっています。

ビタミンCの効能には諸説がありますが、確実な科学的実証は乏しいのが現状です。 私たちの開発したビタミンCを合成できない遺伝子破壊マウスは、 ビタミンCの作用を正しく評価するための非常に有用なヒトに類似するモデル動物です。 このマウスを使ってビタミンCに関連する生体内反応を詳しく解析し、『老化制御』へと応用、発展させて行きます。

さらに、私たちは加齢による機能不全に関わる生体分子として、 PAD(ペプチジルアルギニンデイミナーゼ)という酵素にも注目しています。 PADは、たんぱく質の働きに深く関わる翻訳後修飾の一つであるたんぱく質のシトルリン化反応を触媒する酵素です。 最近の研究からシトルリン化たんぱく質はアルツハイマー病を発症する要因の一つである可能性が高いことが 明らかになってきました。

老化とは多くの生体分子や遺伝性因子、環境因子が相互に複雑に絡み合った一本の糸です。 私たちは、その糸をゆっくりと確実に解いて行かなければなりません。 解き終えた時、そこには元気で活発な高齢者が生き生きと暮らせる社会があると期待しています。

(リーダー 石神 昭人)

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